国立大学法人東京大学の設立:2022年(令和4年)11月1日 アト秒レーザー科学研究機構(Attosecond Laser Facility: ALFA)が制定。
2025年(令和7年)一般社団法人日本記念日協会に制定・登録。
アト秒(as)は、私たちが想像もできないほどの超短時間の単位です。1アト秒は0.000000000000000001秒、つまり10⁻¹⁸秒に相当します。この途方もなく短い時間をイメージするために、1秒とアト秒の関係を例えるなら、1秒と約317億年(宇宙の年齢)の関係に匹敵するのです。
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私たちの日常生活では、秒やミリ秒(10⁻³秒)の単位で時間を認識していますが、科学の世界ではさらに小さな時間スケールが重要になります。ナノ秒(10⁻⁹秒)、ピコ秒(10⁻¹²秒)、フェムト秒(10⁻¹⁵秒)と続き、そして最先端のアト秒の領域へと到達したのです。
アト秒科学が注目される最大の理由は、これまで観測不可能だった「電子の動き」をリアルタイムで捉えられるようになったことです。物質を構成する原子の中で電子が動く速さは、まさにアト秒スケールなのです。
東京大学のアト秒レーザー科学研究機構では、100アト秒を下回る極短パルスレーザー光を発生させる技術を開発し、電子の動きを直接観測する研究を進めています。この技術革新により、これまで理論上の推測に頼るしかなかった電子の振る舞いを、実際に「見る」ことが可能になりました。
アト秒科学の発展は、様々な分野に革命的な変化をもたらす可能性を秘めています:
- 物質科学:新しい材料の開発や、既存の材料の性質をより深く理解できます
- 生命科学:生体分子の超高速反応プロセスの解明が進むでしょう
- 電子工学:より高速・高効率な電子デバイスの設計が可能になります
- 医療分野:がん治療など、精密な医療技術の発展に貢献します
- エネルギー研究:太陽光エネルギー変換の効率向上など、持続可能な技術の発展に寄与します
この日を通じて、アト秒科学の可能性や重要性を広く一般の方々に知っていただき、次世代の科学技術を支える基礎研究への理解を深めることが目的です。
アト秒科学は、人類が「見えないもの」を「見える」ようにしてきた長い科学の歴史の最前線に位置しています。顕微鏡が微生物の世界を、望遠鏡が宇宙の謎を解き明かしてきたように、アト秒技術は原子の中の電子という、これまで直接観測できなかった世界への窓を開きます。
私たちの身の回りの全ての物質や生命活動の根本には、電子の動きがあります。その動きを理解することで、私たちの社会や生活を変える新たな技術革新が生まれる可能性を秘めているのです。
日付は、アト秒が10の-18乗秒であることから、10月18日を記念日としたもの。