日本の古来の民俗信仰の中で、12月12日(または1月12日など12にまつわる日)は「山の神様の日」として知られています。山の神が山の木の数を数えると言われており、山へ入ってはいけない日。
この日、山の神は静かに山中を歩き、そこに生い茂る無数の木々を一つひとつ数えると伝えられています。そのため、この日は山に足を踏み入れてはいけないとされます。もしうっかり山に入ってしまうと、山の神の目には、訪れた人が木と紛れ、間違って数えられてしまうかもしれないのです。そうなれば、帰り道を見失い、永遠に山中をさまよい山から帰って来られなくなるという言い伝えがある。
この言い伝えには、自然の力に対する畏れと尊敬の念が込められています。山の神の誕生日に山に入らないことは、人間が自然の営みに干渉せず、謙虚に自然と向き合うことの大切さを教えてくれます。また、普段は人間に恵みをもたらしてくれる山の神も、時には恐ろしい存在になり得ることを示唆しています。
現代でも、この伝説は地域によって様々な形で残っています。山の神様の日として、山に入らない日とされることが多く、山の神への感謝と敬意を示すための行事や祭りも行われることがあります。