失語症のある方々を含む障害者団体間の親睦を深め、相互の理解を促進することを目指し失語症のある方々の生活と福祉の充実および増進に貢献することを目的として活動しているNPO法人日本失語症協議会が制定。
2020年(令和2年)一般社団法人日本記念日協会に制定・登録。
脳出血、脳梗塞などの脳血管障害や交通事故による脳の損傷によって引き起こされる「失語症」。この障害は「聞く」「話す」「読む」「書く」といった言語機能に影響を及ぼし、患者の日常生活とコミュニケーション能力を根本から変えてしまいます。日本国内には約50万人の失語症患者がいると推定されていますが、その存在と苦悩は社会の中で十分に認知されているとは言えません。
失語症の方々の多くは、意識や知能は健常でありながら、言葉の処理に困難を抱えています。例えば、相手の話が理解できても適切な言葉で返答できない、読めても内容が把握できない、思考はできても表現できないといった状況に置かれます。この「見えない障害」は、周囲からの誤解を生み、しばしば「認知症ではないか」「知的障害があるのでは」といった不適切な判断をされることもあります。
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さらに深刻なのは、コミュニケーションの難しさから社会との接点が失われ、孤立していく患者が少なくないという現実です。買い物や銀行での手続き、医療機関での診察など、日常生活のあらゆる場面で困難が生じ、外出をためらうようになる方も多いのです。
失語症の日の取り組みを通じて目指されているのは、社会全体の認識向上です。失語症の方に対する適切な接し方—ゆっくり明瞭に話す、一度に多くの情報を与えない、絵や文字を併用する、時間的余裕を持って待つなど—を広く知ってもらうことで、患者が安心して社会参加できる環境づくりが進められています。
また、言語聴覚士による専門的なリハビリテーションの重要性や、失語症友の会のような当事者団体の存在、家族支援の必要性なども、この記念日を通じて発信されています。
言葉は人間の尊厳と社会参加の基盤です。失語症の日は、大勢の人にこの障害について知ってもらい再び社会とつながり、その人らしい生活を取り戻すための第一歩となり、社会参加を進めることを目的とした大切な記念日なのです。
日付は「し(4)つ(2)ご(5)=失語」と読む語呂合わせから4月25日に。