設立1948年4月21日の任意団体の日本醤油協会をはじめとする醤油関連団体が2002年に決定。これは、日本の伝統的な調味料である醤油の文化的価値や歴史的背景を広く伝えるための重要な取り組みです。
古来より、10月は日本において特別な季節でした。農耕民族であった日本人は、自然のリズムに合わせた生活をしており、春には種を蒔き、夏から秋にかけては農作物の収穫を行いました。秋口には収穫した作物を貯蔵し、冬の厳しい寒さに備えて、さまざまな加工を施すことが習わしでした。その中でも醤油造りは、特にこの季節に大切にされており、新しい大豆を原料に、秋から新しいもろみを仕込み、醤油を造り始めたと言われています。これは、寒い冬に向けて食料を保存する知恵であり、日本の食文化の一環として長く受け継がれてきたものです。
さらに、10月は干支で10番目にあたる「酉(とり)」の月です。「酉」という漢字は、瓶(かめ)の形を象った象形文字であり、「醤」や「酒」にも使われています。この象形文字が示すように、酉の月である10月は古くから醸造文化と深い関わりがありました。これにより、10月が日本の醸造業、特に醤油造りにとって特別な意味を持つことがわかります。
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日本の醤油業界では、世界中に広がる日本の伝統的な調味料である「しょうゆ」の魅力をより多くの人々に知ってもらうため、2001年(平成13年)に「しょうゆPR事業」をスタートさせました。この事業は、醤油の多様な使い方や、その奥深い味わいを国内外に広めるための重要な活動です。そして、もともと醤油造りと深い関わりを持つ10月の1日を「醤油の日」とし、2002年(平成14年)から正式に定められました。
「醤油の日」には毎年、しょうゆの魅力を再認識し、さらに広めるためのイベントや企画が数多く開催され、全国的に醤油の文化的価値を再確認する機会となっています。
「醤油の日」の制定に込められた想いは、単なる記念日ではなく、長い歴史を持つ日本の調味料を次世代へとつなぎ、さらに世界へ広めるための一歩です。干支にちなんだ由来や、昔ながらの製法に思いを馳せながら、毎年10月1日には、醤油の深い歴史とその豊かな風味を味わい、感謝の気持ちを抱くことが求められています。
このように、日本の文化的な背景と醤油の歴史を理解することで、私たちが日常的に使っているしょうゆが、どれほど深い伝統に支えられているかがわかります。そして、醤油の魅力をさらに広く発信していくため、「醤油の日」がこれからも人々に愛され続けることを願っています。
日付は、醬油の「酉」が干支の「10」番目にあたり、酉が瓶(かめ)に由来する象形文字であることに由来して10月1日を記念日としたもの。